kabkabsunshine’s blog

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【読書メモ】"複雑なタイトルをここに"

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以前興味を持って少し書いたヴァージル ・アブローですが、書籍が発行されているのを見逃していて慌てて入手して読んでみました。

以前書いたのは下記です。

kabkabsunshine.hatenablog.jp

 

普段は株の本とか自己啓発本ばかり読んでいるのでデザインやファッションの話が新鮮だったのでメモってこうと思いました。

 

 

 

概要

本作でヴァージル がハーバード大学デザイン学院での特別公演の内容及び質疑が記載されています。

彼の物作りに対するチートコード(ゲームで使われる用語で裏技とか不正行為とかを指すらしい)やショートカット(近道)や、制作に置けるエートスについて学生にわかりやすく話をしています。

私自身はファッションにもアートにもデザインにも関わらない職業ですが、それでもためになる考え方が沢山あり、かつヴァージル の人柄の良さが伝わってきて読み終わっても何度か読み返したくなる良書でした。

 

建築

ヴァージル は元々学生時代建築を専攻しています。本書の中では、

建築の世界ではとても構造化された方法で問題を解決する、
そのロジックと似た物が、他のいろんな文化的な局面でも使えるという趣旨のことが書かれていました。

 

デザイン言語について

自分のデザイン言語を持つことが重要だという前提において自身のデザイン言語について解説をしていきます。

 

1. READYMADE — NEW IDEA BASED ON RECOGNIZABLE PARTS HUMAN EMOTION, IRONY

 

デュシャンレディメイドに影響を受けていることを言及した上で、若い作家がアヴァンギャルドな作品を作ろうと挑戦するがそれが不可能であると言い切っています。

過去から現在に至る積み重ねの上にアーティストとデザイナーが成り立っているという考えが原点にあるようです。

マルセル・デュシャン - Wikipedia

 

2. “FIGURES OF SPEECH” OR THE “QUOTES”

クォーテーションマークを使用することにより言葉に二面性を持たせ、抽象的でありながら具体的にピンポイントでものごとを伝えることができ、フォトショップなしにデザインができると言っています。ヴァージル なりのユーモア。

ノームコア、K-Hole、アメリカンアパレルを引き合いに出し、現代のアイロニーだとした上で、ヴァージル なりのアイロニーがクォーテーションマークの多様であると解説している。

3. 3%APPROACH

これもデュシャン的なアイロニーからきているようですが、元からあるものに対して3%たすことしかしないようになったと書かれています。"疲れてるんだね。もう歳かな"っていいやつだなと。

ヴァージル の作品に対して盗作疑惑などがありますが、デュシャン的な解釈を作品の主軸に置いていることに由来しているのかなと。

4. A COMPROMISE BETWEEN 2 DISTRICT SIMILAR OR DISSIMILAR NOTIONS

これについてどこで言及しているのか見つけられんでした。もう一度読み直して探します。

5. SIGNS OF ”WORK IN PROCESS” — AGAIN HUMAN INTERACTION

完璧主義ではなくて良いと気づいてから山のような仕事を同時進行しながら安らかに眠りにつけるようになったという。

ワークインプログレスってコンピュータ業界でいうアジャイル的な制作スタイルを指しているのかなと読みながら思ったのですが、現代アートの用語でワークインプログレスというものがあるのですね(制作過程から解体に至るまでの工程自身が作品というインスタレーション)。

ワーク・イン・プログレス | 現代美術用語辞典ver.2.0

 

6. A SOCIETAL COMMENTARY — HAS A REASON TO EXIST NOW

 

 "本当にもう一足作る必要があるのか考える。何を作るにせよ存在理由が必要。でなきゃゴミ箱やリサイクルに回せばいいだけだ。過剰消費はよくないことだし。僕たちはデザイナーであり、そして思想家でもある。僕たちこそが今の時代の問題を判断する役割を担わなければならない。"

 

7. SPEAKING TO THE TOURIST & PURIST SIMULTANEOUSLY

現実にいきている人たちとのやりとりを抜きにすると、デザインは結局自己満足の域を超えない。

 

メンター

講演の中ではメンターを持つことの重要性とそのメンターに対して問いかけることが重要と書かれている。本書になんども出てくるデュシャンの他に下記の名前が上がっていました。どんな人たちなのか調べてみようと思います。

ル・コルビジェピーターサヴィルドナルドジャッド、マットキルゴア.

 

最後に

オフホワイトもルイヴィトンも高価なので中々手が出せませんが無理せずに手に入れることができるというエートスに賛同したIKEAとのコラボ等手の届く所にも作品を届けようとしてくれている姿が本当にありがたいです。

もはや完全に大御所クラスに位置していても今もなお飽くなき探究心で大量の仕事をこなし続けているヴァージル ・アブローの今後が益々楽しみになりました。

 

なんと動画ありました。

youtu.be

 

おまけ。ヴァージル のDJ。

youtu.be

 

 

“複雑なタイトルをここに

“複雑なタイトルをここに"

  • 作者: ヴァージルアブロー,倉田佳子,ダニエルゴンザレス
  • 出版社/メーカー: アダチプレス
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本
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